私宅の小さな庭にも毎年変化があり、この夏はコアシナガバチが棲みついた。
「金持の木」と呼ばれている鉢植えの枝に巣を作っており、家内が水遣りの時に刺されて
初めて気が付いた。
その影響は意外に大きく、この秋はコオロギが鳴かないし、スミレの葉、サンショウの葉、
生垣のウバメガシ、カリンなどの葉が、イモムシや毛虫の食害を受けていないのである。
コアシナガバチは園芸家や農家には益虫として大事にされていて、
害虫を幼虫段階で駆除してくれるらしい。
その鉢は私の部屋の網戸の外にあり、刺される危険もないので近々と観察させてもらっていたが、
8月も終わりの頃、成虫が目に見えて減ってきたので不審に思っていた。それが9月3日には全く
いなくなったので驚いて詳しく観察することにした。
巣を枝ごと切り取ってよく見ると、多数のアリがハチの巣穴を出入りしているではないか。
アリに攻撃され、羽化間際の蛹のうち不完全羽化を余儀なくされた成虫がその近くに残留
していて、巣が見えなくなるほど沢山いた成虫は巣を放棄して飛び去ってしまったらしい。
写真を拡大してみたら多くの巣穴の中にアリが見つかり、150個ほどある巣穴の中には幼虫も卵も
見つからなかった。
フジバカマを庭に植えて秋のアサギマダラの訪れを楽しみに待っている人は非常に多い。
昨秋、京都・水尾の里の休耕田に地元の有志がフジバカマを植えたところ、驚くほどの
アサギマダラが飛来し、私は招かれてアサギマダラを観察させていただいた。そのレポート
は遊行期のブログ(2011)に、
『今年のアサギマダラ(2011.11.11記)』として纏めて収録してある。
ところで、フジバカマの何があれだけ強力にアサギマダラを誘引するのだろうか。
アサギマダラの南下ルートから外れる長野県北部の大町市にある「のっぺ山荘」の
フジバカマ群落にも、毎年秋になると多数のアサギマダラが訪れるのは専門家や
アサギマダラ・ファンに広く知られている。「のっぺ山荘」での再捕獲は北上個体
が多いのも謎とされていて、地元でフィールドとして活躍しておられるMさんが
謎解明に取り組んでおられると聴いているが、私は地形と風が関係していると
考え、小文をフジバカマとアサギマダラ(2012.2.18)
に纏めてみた。興味ある人はご覧戴きたい。(2012.2.24記載)
京都市内の市街地の庭でアサギマダラの越冬観察を続けています。
食草のキジョランを覆った荒いネットの内外に生い茂った葉に、円形の食み痕
を広げながら特別厳しいこの冬の寒さに耐えて生き続けています。
四国から連れて帰ったアサギマダラ♀3頭が11月4日から5日にかけて産卵した
ものですが、およそ70卵ありました。殆どが孵化して円痕を作りましたが
移動が激しいので生息数が把握出来ておりません。2齢の幼虫が30頭以上は
いるようで、聞いていたよりは生存率が高いようです。
自然状態での京都での越冬記録は無いと思いますが、それは常緑の食草が分布
しないのと、11月初旬の頃にはアサギマダラが南下してしまって京都では
観察されないことが原因になっていると思います。キジョランが自生していた
としても、産卵の時期が早いと気温が高いので成長も早く、3齢、4齢、終齢、
あるいは蛹などになってしまいますが、高齢になるほど寒さには弱いと言われて
おり、早く蛹化したものは羽化するものも有りますが、幼虫または蛹では冬の間に
死んでしまうのです。私も飼育で確認しました。
常緑の食草であるキジョランの種子には、白く長い毛が生えていて風で遠くまで
飛ばされますが、気候が温暖化するとこのあたりでも発芽するのではないかと
考えております。気候の温暖化は、アサギマダラの南下の時期にも影響を
与えるものと思われますので、そう遠く無い日にアサギマダラの越冬が実現
するかも知れません。(2012.2.10記載)
冷たい雨が3日も降り続きましたが、時々お陽様が顔を出して
陽射しが庭にも届くようになりました。気温は昨日の午後から急に上がって今朝の
10時で14.8℃、幼虫は活発に摂食して半数は3齢になりました。
今のところ害敵にやられることもなく順調に育っています。
ほぼすべての幼虫が3齢になりました。休止する時は接食中の葉から離れた場所
に隠れているものが多いので正確にはカウント出来ておりませんが、30頭はいるようです。
話は変わりますが、冬鳥が少ないのが一番の原因と思われますが、京都西山の
ある一本の榎の下からは60頭ものオオムラサキの幼虫が見つかったそうです。その傍ら
ゴマダラは少なかったとか、毎年毎年去年とは違った春がやって来て興味が尽きません。
この季節の幼虫の最大、最強の天敵は野鳥です。数年前のこの庭で7頭の4齢幼虫が一日で
いなくなった事がありました。隣接して小鳥の餌台がありますが、あれからは餌をおいていません。
網の外に張り出した葉にも数匹の幼虫がいますが、網の中の葉に移動しないかに関心があります。
大崎直太先生は『強い種が良い食草を独占する』( ブログ )
と教えて下さいましたが、アサギマダラ幼虫にとっての最大の害敵は野鳥で、網の中の方が安全な筈なのです。
今朝は驚きました。アサギマダラの幼虫は網など無いかのように激しく出入りしているのです。
昨日は満開の桜も散るほどの風雨で観察は出来ませんでしたが、からりと晴れた今朝、網を潜って張り出した
10枚ほどの葉に10匹の幼虫が見つかりました。10分ほど経ってからもう一度カウントすると1匹は網の中に移動
していて、一枚の葉に複数匹静止しているのも数枚ありました。寄りたがる習性は
ギフチョウでも顕著です。
どのようなメリットがあるのでしょうか。
3割ほどの幼虫が終齢を迎えました。寄りたがる習性はますます強くなってきた
ようです。この間、虫仲間と出会った時に、何故だろうと話題に出したら『威嚇する
パワーが強化されるのじゃないですか』という意見がありました。確かにグロテスク
です。鳥にも通用するのでしょうね。お陰で36匹から減らずに成長を続けているようです。
風が強く雨もぱらついているうすら寒い天候なので丹念には観察出来ておりませんが、3匹が尾端でぶら下がる
前蛹状態で、他にも蛹化場所を求めて歩き回っている黄色味の強い終齢幼虫が数匹います。ぶら下がっている場所
は一匹がキジョランの葉裏ですが、他の2匹はネットから少し離れたサツキのブッシュの中の枝先で、いずれもネット
の外なのです。
5日前には36匹カウントされましたが、昨日夕刻には31匹に減りました。1匹は踏みつぶされて死亡、1匹は
寄生ハエにやられ、残りの3匹は行方不明ですが蛹化場所を求めて這いだしたものと思われます。網室の東と南は
ウバメガシの生け垣になっていて、そこに這いこまれるともう発見するのは不可能になります。
見えるところに15匹おります。場所ではサツキの枝葉に9匹、キジョランの葉に5匹、少し離れた植木鉢のヘリに1匹です。
4月12日には37匹カウントされましたが、蛹化場所を求めて徘徊が始まり、19日には23匹に減りました。目に見えるところで
死亡したものは、寄生ハエにやられて1匹、人に踏まれて2匹、その他は行方不明ですが、ウバメカシの生け垣に多くは蛹化
しているのではないかと思っています。夜間にライトや紫外線ランプなどを使って捜索しておりますが皆目見つかりません。
5月11日の♂に続いて今日は♀が羽化しました。蛹は16個確認出来ました。腹背部まで黒くなると1〜2日のちには羽化します。
半月以上も羽化しないので蛹を枝ごと切り取って点検しました。その結果6個の蛹に穴が空いているのがわかりました。
寄生虫を捕獲して調べるために蛹は全部飼育ケースの中に入れました。
5月22〜24日に福村拓巳さんに下関付近の越冬地を案内していただきましたが、キジョランの葉裏で死亡している黒い蛹が
羽化後の殻よりも多いのに驚きました。一方、福村さんが関わっているリフレッシュパーク豊浦のアサギマダラ飼育室では
全数羽化しておりました。飼育室は屋外ですが、細かいネットで覆ってあり寄生虫は入り込めなかったようです。